イラストでわかるBOPビジネス
この記事のまとめ
- BOPビジネスは低所得の人を対象にしたビジネス
- BOPビジネスは対象40億人、500兆円規模の巨大市場
- BOPビジネスには1.0〜3.0がある
目次
BOPビジネスで低所得の人たちの生活がゆたかになる!
今日はBOPビジネスについて説明しましょう。
BOPビジネスとは「低所得の人を対象にしたビジネス」のことです。
BOPビジネスとは「低所得の人を対象にしたビジネス」のことです。
あきら先生、BOPってなんですか?
BOPは「Base of the Pyramid」の略です。
べーす・おぶ・ざ・ぴらみっど?
この図を見てもらうのがわかりやすいかもしれないですね。
世界の所得ピラミッド
この図の下部分「年間所得30万円以下、1日あたり800円以下で生活する人たち」のことをBOPとよびます。
なるほど。ピラミッドの土台部分だから、Base of the Pyramidなんですね。
でもどうしてBOPを対象にビジネスするんですか?
正直、低所得の人向けにビジネスをしてもあまりもうからない気がするのですが。
正直、低所得の人向けにビジネスをしてもあまりもうからない気がするのですが。
えみさん、ズバッといいますね。
でもBOPビジネス、もうかるんですね。
実はBOPは500兆円規模の巨大市場なんですよ。
実はBOPは500兆円規模の巨大市場なんですよ。
500兆円!す・すごいですね。
さらには、BOPビジネスによって、BOPの人たちの生活がゆたかになるんですね。
えっ!どういうことですか?
具体的なBOPビジネスにユニリーバの「シャンプーの小分け販売」があります。
シャンプー1回分の袋を4円で販売したんですね。
シャンプー1回分の袋を4円で販売したんですね。
シャンプーを小分けにして販売
シャンプーはふつうはボトルで販売していますが、ボトルだと安いものでも1本600円くらいしますよね。
そうですね。
BOPの人たちは1日あたりの生活費が800円なのに、1本600円のシャンプーを買うのはちょっときびしいですね。
BOPの人たちは1日あたりの生活費が800円なのに、1本600円のシャンプーを買うのはちょっときびしいですね。
そうですよね。
でも、えみさんがもしシャンプーが使えないとしたら、どう思いますか?
でも、えみさんがもしシャンプーが使えないとしたら、どう思いますか?
うーん、シャンプーが使えないのはイヤですね。シャンプー使いたいです。
そうですよね。
BOPの人たちもシャンプー使えないのはイヤなんですよ。
お金がある人も、BOPの人もシャンプーしたい気持ちはみんな同じなんですね。
BOPの人たちもシャンプー使えないのはイヤなんですよ。
お金がある人も、BOPの人もシャンプーしたい気持ちはみんな同じなんですね。
そうですよね。シャンプー使いたい気持ちは万国共通ですよね。
ここで、1袋4円のシャンプーがあったら、BOPの人もときどきだったら買えそうですよね。
おお!
このように、もともとはBOPの人たちが買うのがむずしかったシャンプーが、小分け販売することで買えるようになったんですね。
BOPの人たちはシャンプーできるようになりますし、会社はもうけがふえて、Win-Winなわけですね。
BOPビジネスでBOPの人たちの生活はゆたかになって、会社ももうかる。BOPビジネスすごくいいですね!
BOPビジネスは搾取!?「BOP2.0」の登場
しかしBOPビジネスにも批判がでてくるようになるんですね。
えっ!?どうしてですか?
「BOPビジネスは搾取だ!」という批判がでてきたんですね。
BOPビジネスをやっているのは先進国の会社が多かったんですね。
BOPビジネスをやっているのは先進国の会社が多かったんですね。
たしかにBOPビジネスによって、BOPの人たちの生活はゆたかになりました。
しかしBOPビジネスのもうけが入るのは先進国の会社でした。
BOPの人たちの所得はふえず、むしろ出費がふえてしまったんですね。
しかしBOPビジネスのもうけが入るのは先進国の会社でした。
BOPの人たちの所得はふえず、むしろ出費がふえてしまったんですね。
BOPから搾取する会社
なるほど…。たしかにこれでは不公平ですね。
そこで、BOPの人たちに商品を販売するだけではなく、BOPの人たちと協力してビジネスをやっていこう、BOPの人たちを雇用しよう、BOPの人たちの起業をあと押ししようといううごきが出てくるんですね。
この動きは「BOP2.0」と呼ばれています。
BOP2.0!
BOP2.0の具体例を見てみましょう。
ヤクルトは現地のBOPの人たちをヤクルトレディとして雇用したんですね。
ヤクルトは現地のBOPの人たちをヤクルトレディとして雇用したんですね。
ヤクルト
ヤクルトはおなかの調子をよくして、感染症の予防になります。
これは衛生状態のよくない国にとってはとてもいい効果なんですね。
これは衛生状態のよくない国にとってはとてもいい効果なんですね。
しかし、ヤクルトはBOPの人たちにとっては新しい商品。
どんなものかよく分からない商品がスーパーに並んでいてもなかなか手にとられません。
どんなものかよく分からない商品がスーパーに並んでいてもなかなか手にとられません。
そこで、ヤクルトは雇用したヤクルトレディの人たちによる訪問販売をすることにしました。
ヤクルトがどんな商品なのかをヤクルトレディを通じて、ていねいに説明して販売していったんですね。
この方法は大成功して、いまでは世界に約4万人のヤクルトレディがいるんですよ。
さらに発展!「BOP3.0」
最近では、BOP2.0をさらに発展させた 「BOP3.0」 も登場してきました。
BOP3.0は、ひとつの会社だけでなく、社会全体で持続可能な発展していこうという意欲的な取り組みなんですね。
BOP3.0の例として会宝産業の「自動車リサイクル事業」があります。
会宝産業はもともと自動車の中古部品を輸出している会社です。
たんに輸出するだけでなく、現地のBOPの人たちにリサイクル技術を教えたり、現地の廃車の部品回収や販売をサポートしていたんですね。
たんに輸出するだけでなく、現地のBOPの人たちにリサイクル技術を教えたり、現地の廃車の部品回収や販売をサポートしていたんですね。
会宝産業は自分の会社だけでなく、もっと多くの会社が参入することで自動車の中古部品市場を盛り上げていこうと考えました。
そこで3つのことを行いました。
- 品質表示規格を作成
目利きがいなくても中古部品の品質が分かるようになった!
- 中古部品オークションを設立
- 従来、部品の品質による価格差がつきづらかった…
- 品質表示規格 + オークションによって、高品質な部品に高値が付くようになった!
- バイヤーの紹介、コンテナ積込管理、貿易書類作成、資金回収などの手間のかかる業務を代行
新しい販売会社が参入しやすくなった!
これらの取り組みによって、自動車の中古部品に関わる人・会社が増えて継続的な成長ができる仕組みになったんですね。
すごい!たくさんの人・会社が関わって、社会全体が発展していくんですね!
この記事のまとめ
- BOPビジネスは低所得の人を対象にしたビジネス
- BOPビジネスは対象40億人、500兆円規模の巨大市場
- BOPビジネスには1.0〜3.0がある
参考
- アジアの出来事 BOPビジネスの可能性(2010年7月) - ジェトロ・アジア経済研究所
- 日本におけるBoPビジネスのブームと現状、BoP1.0からBoP3.0へ | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
- BOPビジネスの性格を正しく理解し戦略的展開を : 富士通総研
- 日本政府によるBOPビジネスへの政策的支援と具体的取組.pdf
- BOPビジネスの現状とこれまでの取組について(経済産業省 貿易経済協力局).pdf
- BOP研究の系譜と今後の展開.pdf
- 「静脈産業」パイオニア、会宝産業の挑戦 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)
- ヤクルトは、なぜ新興国市場で強いのかミルミル伸びるBOP戦略の秘訣 | 新聞記事から学ぶ経営の理論 | ダイヤモンド・オンライン